「女の恋愛は上書き保存、男の恋愛はフォルダ管理」なんて言葉がありますよね。
つまり、女性は過去の恋愛を全て消して、新しい恋愛で上書きする、
男性は過去の恋愛を忘れず、新しい恋愛が始まっても記憶を横並びにしてリアルに記憶したまま、という意味です。
男と女で性格が違う訳もなく、こういう性差の話は酒の肴程度に留めておくべきでしょう。
しかし実際のところはどうなんでしょうか。
上書き保存をポリシーとしている人にも忘れられない恋愛はあるのではないでしょうか。
フォルダ管理している人にも、綺麗に忘れたい恋愛があるのではないでしょうか。
大昔の彼氏に強い影響を受けたままのわたし
私の話をします。
私は性格的に過去の恋愛は上書き保存するタイプです。
いくら好き好きと盛り上がったとしても、別れてしまえばそれはマボロシでしかありません。
日を追うごとにどうでもよくなり、その恋愛をしていた自分すら嫌いになりそう・・・そんな感じです。
高校生の時の恋愛が人生で一番いい思い出だと言っている人は男女ともにいますけど、私の場合は、高校生の時の恋愛も同じようにゴミ箱行きにしました。
思い出す価値もないという感じです。(当時の彼氏はいま学校の先生をしているそうです。仕事を頑張ってほしいという気持ちはとてもあります)
でも、20歳を超えたころにお付き合いした彼氏は・・・今も強い影響力を私の中で維持しています。
本当に性格が悪い男だったんですよ。女にもだらしない男でね・・・6歳年上でした。
こんなに嫌な奴がいるのかって戦慄したほどです。
でも、ファミレスなんかで子供にニコニコして見守っているのを目撃して、なんかこの人の心の奥底にあるものが分かった気がしました。
そして頭がものすごくよかったんです。学歴は高卒なんですけど、常識とか道徳みたいな価値観に縛られずに独特の価値判断をしていました。
自分の彼女が殺人を犯したらどうするかって訊いたとき、「出所するまで待ってる」と即答していたりね。たぶん女と遊びながらも待っているのでしょうね。でも過去の人にしないんだなと驚きました。
「負けることで勝つほうがいい」とも言っていました。人生の負け犬だったとしても、日の当たる場所を歩けない仕事をしていたとしても、自分の家族にご飯を食べさせられるなら勝ちなのだと。
性格の悪さとは別に、考え方の癖のようなものは確実に私も影響を受けました。
その彼氏とは2年ほどで別れたのですが(別れたというより、行方不明になった)、ずっと忘れたことがなかったです。
元カレに影響を受けた脳みそで新しい男と付き合っても、うまくいきませんでした。
早いと一日、遅くても一か月で白けてしまうのです。
きっと子供だったから影響が強いんだと思い、その影響の強さを毛嫌いしたこともありましたが・・・どうも違うようなのです。
完全に私の人格の一部を作ったのはあの元カレなのです。
29歳のときに再会したのは・・・
元カレは性格が破綻していて随分と振り回されたせいか、私が結婚したのは大人しく、良くも悪くも平凡な会社員の男性でした。
おまけに年収も少ないし、出世欲もない。
でも私が仕事を頑張って夫を支えるんだと意気込んでいました。
経理の仕事をする会社員として、事務服を着て働いていましたよ。
でも29歳になったある日、女友達からある男性を紹介されます。遠くの街に住む35歳の男性でした。
私は既婚者でしたから女友達ももちろん色恋の紹介ではありません。起業するので一緒にやらないかという話だったのです。その男性は女友達が18歳のときから絡んでいて、強い影響力を与えている人のようでした。
「でもダメな男だよ、仕事はできるけど」
そう言われていました。
そして二時間車を運転して会いに行き、その場所にいたのは・・・元カレでした。そう6歳年上のあの男だったのです。
20代の全てが浄化され許される気がした
女友達がダメな男と称したのは、私の元カレでした。
しかも女友達まで変な影響力を受けています。
たしかに、口調や考え方が元カレとそっくりなのです。だから女友達と仲良くなりやすかったのかもしれません。価値観が私と似ていました。
なるほど・・・あいつの影響下にこの子もあるのか・・・と怖くなるような腹が立つような・・・
でも元カレと話すと、すごく深いというか、心の底のほうから湧き上がるような安定感があったのです。
「もう分かりました、運命だと思うのでこの起業には参画します」そう答えたのを覚えています。
20代の私は幸せを掴んだようでいて、性格がひん曲がりそうなほど苦労していました。
お金はなく、稼いでも消え、夫とは気持ちがすれ違い、そして私は性欲が強く時々セフレ遊びに溺れるようなダメな様で。
そういうしんどい20代の全てが浄化されるような気になりました。
元カレはあまり褒められるような仕事をしていませんでしたが、周りに女性ばかりいました。そして女性達が「〇〇のためならわたし頑張るよ」と口々に言うのです。
そんな光景に危うさを感じながらも、もう宗教かなにかのように、みんなが同じ価値観を持つようになったのです。
そこから逃げたくなることも
影響力の強さを目の当たりにすると、実際のところ、恐怖を感じるものです。
文字通りハマってしまうかもしれません。抜け出せなくなり、人生が狂ってしまうかもしれませんからね。
しかし女たちは、出ていっても数年したら帰って来る。
いくら喧嘩して出ていっても、多くは元に戻るのです。
恋愛関係にはない女性でもそうなのですから、過去に恋愛関係にあった私はもう諦めるしかありません。
この男の影響下にい続けようと腹を決めました。
こうして、私は過去の恋愛を上書き保存でもフォルダ管理でもなく、臭いものを何度でも嗅ぎたくなるかのようにリアルなものとして復活させて生きています。
元カレとよりを戻したことはありませんが、仕事は今も一緒にしています。
これを運命と呼ぶのであれば、確かにそうかもしれません。
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